VALU・ヒカル氏全VA放出問題についての出演メモ


VALUのヒカル氏全VA放出トラブルについて、J-WAVEの「JAM THE WORLD」と、フジテレビのネット放送・ホウドウキョク「あしたのコンパス」で話をしました。出演用のメモをアップしておきます。2017年8月22日

★最大の問題
・VALU運営側は「個人の支援、売買できるクラウドファンディング」だと謳っている
・しかし実態は値上がり益を期待する「取引市場」になっている
→理念と実態の乖離。ほとんどのの問題点は、ここが原因。

①VALUで資金調達する仕組みは?

●個人を企業のように見立てたプライベート市場
→個人の評価、やっていること、知名度、将来性などを「VA」という単位で売買する
→トレーディングカード的

●VALUの基本
・誰でも自分のVAを販売できる
・VAの最初の価格・量は、運営側がSNSのフォロワー数などを基に決める
・割り当てられたVAを、VALU市場で売る→お金が入る

●売る側から見ると
・自分のVAを市場に出すだけで、お金になる

●買う側から見ると
・有名人などのVAを買うことで値上がり益を期待できる
・優待
・支援

②通常の株式売買とどう違うのか?

●VAには裏打ちが何もない(評価経済である所以)
・株式のような経営権参加は一切ない
・優待も義務ではない

●有価証券のような裏打ちがあると法律に抵触する
・そのためあえて、何の裏打ちも持っていない

●発行VA数を、発行する側が自由にコントロールできてしまう問題点
・株式なら企業は「いつ、何株、いくらで発行するのか」を公表しなければならない
・VALUでは公表せずに、価格も自由に、いくらでも好きなタイミングで発行できてしまう
→需要と供給のバランスが成り立たないため、非常に危うい構造
→★これを崩したのが、ヒカル氏の事件

●上記の解説
・発行可能なVA数は、運営に割り当てられる(5万、1万、5,000、1,000、100など)
・しかしそれを全部一気に出してもすべては売れない
・そのため発行主は、価格をキープできそう範囲=売れそうな価格で、少しずつ売っていく方法が一般的
・その方法、タイミング、価格は、発行主が自由に決められて、かつ公表する必要がない

③法的な問題はあるのか?
●有価証券ではないので規制の範囲外

●詐欺の可能性はあるが
・優待を出したことはあるが、過去のものだった
・前日にヒカル氏は煽っており、それが詐欺にあたる可能性も
→ただし通常の売りをしただけであり、詐欺かどうかは微妙な線

●「高額売り抜け」という報道があるが、これは逆で「大量発行によるVAの毀損」が問題
・一般的に発行主はVAの値段を高くキープしたい
・自分が売る場合に、お金を得るため
・そのため発行量を抑えたり、優待を出すなど、買ってもらう=高くなる努力をする

・ヒカル氏は、まるで逆のことを行った
・前日に煽り、優待などで期待させて高値にするように見せた

・しかし当日の高値よりも、安い価格で、全VAを放出
・市場が「ジャブジャブ」の状態に
・企業がいきなり、現在の価格よりも安い株式を一気に発行するようなもの

・価格が大幅に下落→損切りをしている人が出た

●問題になったため買い戻し
・ヒカル氏が売った価格で買った人は、売り戻せば損はない
・しかし損切りをした人は、丸々損をしていることになる
・ここは訴訟になる可能性がある(あくまでも民事だと思われるが)

④「評価経済」の今後は?
●評価経済のしくみ自体は面白い
・個人の評価や将来性を、お金に変えるしくみ
・ビットコインとネット市場が実現する新しいしくみ

●しかし「裏打ちがない」点が問題
・保証するものが何もないので、悪意のある人物によって混乱させることも可能
・「評価」を気にしない人物によるトラブルは起きうる

●市場として成立させるなら、きちんとしたルール整備、システムが必要
・インサイダー取引
→VALUではインサイダー取引がし放題になってしましまっている
・指値、決済のがしくみがおかしい
→高値で買いの指値しているのに、それ以下の指値で売りが出ても決済できない
→価格よりも出したタイミングが優先される

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ITジャーナリスト・三上洋



セキュリティ、携帯電話・スマートフォン、携帯電話料金、ライブメディアのライター・ジャーナリスト。文教大学情報学部非常勤講師
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