パブリックコメントとは?


11月21日(月)締め切りでPLC高速電力線搬送通信のパブリックコメントが実施されています。ではパブリックコメントとは、そもそも何なのでしょうか。

パブリックコメントとは

『パブリック・コメント手続とは、行政機関が政策の立案等を行おうとする際にその案を公表し、この案に対して広く国民・事業者等の皆さんから意見や情報を提出していただく機会を設け、行政機関は、提出された意見等を考慮して最終的な意思決定を行う(総務省Webサイト)』
というもの。ごく単純に言えば「行政が勝手に決めちゃいかん。国民や関連団体・企業の声も聞きましょう」という手続きです。基本的には規制緩和や撤廃のために用意されたしくみで、行政機関による規制をできるだけ少なくすることを目的としています。
ただしパブリックコメントを実施するための法律はなく、平成11年の閣議決定によって行政府や地方自治体が実施しています。法律がないこともあって、パブリックコメントにはグレーな部分もあります。たとえばパブリックコメントを集めた後の意思決定には制約がありません。「参考になる意見がなかった」として、何の変更もなしに通ることもあるわけです。

多数決ではなくて質疑応答風

というわけでパブリックコメントは多数決ではありません。あくまで意見を聞いて、それに対する行政機関の考え方を公表し、最終的な意思決定の参考にするというものです。
パブリックコメントの結果を見てみるとわかりますが、寄せられたコメントに対して、行政機関が返答する形で公表される場合が多くなっています(総務省の場合は特にそのパターンが多い模様)。
それでは反対意見があったとしても無意味では?と思うかもしれませんが、決して無力ではありません。反対意見なり修正点なりのコメントが多く寄せられれば、その結果は件数も含めて公開されます。
それだけの問題点があるのに、修正しないまま通すわけには行きませんから、何らかの変更を余儀なくされるでしょう。実際にパブリックコメントによって変更になった事例もあります。

意見を出すことが出発点

今回のPLC高速電力線搬送通信に関しては、研究会が10回に渡って行われてきましたが、メーカー側とアマ無線・短波ラジオ・天文側とで同意できた部分はほとんどありません。仕方なくといった形で、座長さんが中間的な案を出し、それをパブリックコメントにかけたという状況。
あくまで(案)の状態で出てきているわけですから、問題点がたくさんあるわけです。他のパブリックコメントでは意見がほとんど出ずに終わってしまうものが多数ありますが、これは論争必至で右にも左にも動くはず。言わば「パブコメ勝負!」です。


(案)にある問題点ををきちんと指摘しないと、中途半端な規制のままPLCはスタートしてしまいます。ですから意見をきちんと出すことが重要。手をこまねいて見ていてはダメな状況です。ぜひとも皆さんの意見を、総務省にぶつけましょう。

▲参考サイト
パブリックコメントとは何か

パブリックコメント-思考の蝶

パブリックコメントの閣議決定について

規制の設定又は改廃に係る意見提出手続(いわゆるパブリック・コメント手続)

平成16年度のパブリックコメントの実施状況

「規制の設定又は改廃に係る意見提出手続」の実施状況

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ITジャーナリスト・三上洋



セキュリティ、携帯電話・スマートフォン、携帯電話料金、ライブメディアのライター・ジャーナリスト。文教大学情報学部非常勤講師
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