OP25Bとは?[1] 携帯迷惑メール対策の決め手になるか?


今日はケータイの迷惑メールの話題です。
新たな迷惑メール・SPAM(スパム)対策として「OP25B(Outbound Port 25 Blocking)」が始まっています。OP25Bとは、送信側のプロバイダーで迷惑メール送信をストップしようとするもの。今までの迷惑メール対策は、メールの受け側だけによるものでしたが、今回のOP25Bは送信側を規制する画期的な対策です。

OP25Bとは「外向けのポート25番をブロックする」という意味で、ポート25番とは送信用メールサーバーが使う出入り口にあたります。OP25Bを導入したプロバイダでは、このポート25番の出口を遮断。これにより迷惑メールを送りまくる悪徳業者は、外向けに迷惑メールを送信できなくなってしまうわけです。
このOP25Bは10月前後からスタートしたばかりで、とりあえずは携帯電話あてのメールアドレスに限って遮断されています。今後は一般のメールアドレスあてに広がる予定で、さらに送信時の認証を厳しくするなどの対策も考えられています。

これらの対策は、2005年の3月からスタートしている大手プロバイダ数社とケータイ電話会社による研究団体「JEAG(Japan E-mail Anti-Abuse Group)」によるもの。プロバイダとケータイ電話会社による実務者レベルによる研究であり、かなり実践的な対策が考えれらています。

ただしOP25Bには問題もあります。まずプロバイダのユーザー利用に制限がかかってしまう可能性あり。たとえば契約しているプロバイダとは別のメールアドレスを使っている場合には、メールを送信できなくなる怖れがあります(現在は携帯電話あてのみなので問題なし)。自宅サーバーを作っている人、独自ドメインのメールを持っている人(筆者もそうです)が不便になる可能性があるのです。
また迷惑メール対策としても完璧なものではありません。現在OP25Bを始めているのは、IIJやぷらら、hi-hoなどの大手数社のみ。全プロバイダが実施しているわけではないので、悪徳業者にとっては「プロバイダを変えればいいだけ」という状況です。
もう1つ、最近の迷惑メールの多くは、ケータイから送られています。ノートパソコンにケータイを接続して送るものが主流で、これらの多くが犯罪に当たる架空請求メールです。これにはOP25Bはまったく役に立ちません。同じケータイ会社から送られてきては、ブロックできないからです。


とは言いつつも「送信側を規制する」ことが始まったのは画期的。OP25Bによって、今すぐケータイ迷惑メールが減るわけではありませんが、じわじわと効果が上がっていくことを期待しましょう。

part2もあります
OP25Bとは?[2] 導入プロバイダの利用者はちょっと厄介

●参考リンク
巧妙化する迷惑メールの手口~JEAG創設の背景と日本における迷惑メールの現状~


IIJ、携帯向けメール送信に「Outbound Port25 Blocking」導入


Outbound Port 25 Blocking(Networkキーワード)

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ITジャーナリスト・三上洋



セキュリティ、携帯電話・スマートフォン、携帯電話料金、ライブメディアのライター・ジャーナリスト。文教大学情報学部非常勤講師
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