PLC 電力線通信:ネット家電に夢はあるか

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PLC 高速電力線通信のお話を続けます。今回は分析やトピックスではなく、筆者が想像するネット家電のスタイルをまとめます。勝手な妄想に近いので、あまり参考にならないかもしれませんがお許しを。

基礎知識でPLCはあくまで屋内配線のネット接続であって、ADSLや光ファイバーのライバルではない、という話を取り上げました。PLCの目的はネット家電にあります。
ではネット家電に夢はあるのでしょうか。現時点で想像できるネット家電のスタイルを思い浮かべて検討してみましょう。

冷蔵庫 話のタネに過ぎないかも

ネット接続できる冷蔵庫はすでにいくつか登場しています。ネット家電のコンセプト商品(実際に売る気はない)として海外メーカーのほか、国内メーカーも開発しています。Googleで「ネット 冷蔵庫」と打てば、山ほど出てきます。
あーでも、冷蔵庫にネットって必要ですか? だいたい冷蔵庫って品物自体が、自律商品(=ほっといても動作する・機能する商品のこと)として開発されています。夏だろうが冬だろうが、一定の温度に保ってくれるからこそ冷蔵庫なんです。だからネットで遠隔操作する必要は全然なし。
あるとすれば在庫チェックでしょうか。IT Proの記者さんも書いていらっしゃいますが「ビールが冷蔵庫にあったかチェック。なければ仕事帰りに買っていく」というのはアリかもしれません。でもそのためにケータイで自宅の冷蔵庫をチェックする、なんてことしますか? そんなことせずにワンケース買っちゃったほうが早そうです。
賞味期限チェックってアイデアもありますが、そのためには冷蔵庫にバーコードリーダーもしくはICタグのリーダーが必要です。さらに買ってくる商品のバーコードかICタグに、賞味期限を入れてもらわなくてはならない。冷蔵庫にはそれを読み込んで管理するソフトも内蔵しなくちゃいけませんから、かなーり高い冷蔵庫になってしまいそうです。現実的じゃないですね。
料理のレシピってアイデアも出ていますが、これって料理をしない人の発想です。料理の献立を冷蔵庫の付いたモニターで考えるなんてパターンはありえません。あるとすれば
「冷蔵庫を開けて、いまある食材でやっつけ料理を作る」
ってパターンでしょう。これは前述の通り「食材のデータベース管理」が必要になりますからコスト面で実質的に無理です。モニターを見るより、冷蔵庫の扉を開けちゃったほうが早いでしょう。
ごめんなさい、ネット冷蔵庫に夢は考えられませんでした。

エアコン 一応利用価値はありそう

ネット家電のたとえでよく登場するのがエアコンです。汗だくだくで家へ帰るときに、ケータイから自宅のエアコンをオンにする、って使い方ですね。これは納得できます。ネット家電の模範的な使い方と言えるでしょう。
もちろん真冬の寒い日でも同様な使い方が可能です。ただし暖房の場合だと、石油ファンヒーターとかストーブなんてものはダメです。無人の状態でオンにすると危険なことがあるからです。ケータイで電源オンにしたら、ファンヒーターの前に新聞があって火事に!なんてことが起きるかもしれません。
エアコンに限れば確かにネット家電にする価値はありそう。ただし使い機会は、年に数回程度なわけで、商品としての魅力があるかどうかは微妙です。

電話 ネット家電化する意味なし

2005年のCEATECで、PLCを使った電話のデモが行われました。松下の事前の発表会の画像はこんな感じです。これ見ると笑っちゃうのですが、電話用のAC電源のほかに、IP電話・PLCのモデムの電源がつながっています。仕方ないことなのですが、結局のところ、コンセント1個じゃすまないってことが見えてしまいます。
コンセントでネット接続する家電と言えども、結局は電源コンセントとPLC接続用のコンセント、計2個が必要になるということ。だったら今のIP電話や、普通のアナログ電話でいいんじゃないですか?
新築の家やマンションなら、部屋ごとに電話のモジュラーコンセントが来ていますし、そもそもコードレスホンが普通なのだから、わざわざPLC化するメリットはありません。
ああ、留守番電話を外から聞く、って使い方はあるかもしれませんね。でもそれって現在でも十分可能ですし、IP電話のシステムでも不可能ではありません。また携帯中心の世の中になっているため、有線電話の留守番電話自体が利用価値が低いってこともあります。
残念ながら、電話はPLCネット家電とまったく縁のないものになりそうです。

テレビ 単体ではメリットないか?

テレビのネット家電化は、すでに何度も挫折しています。ネット普及期の1999年前後に、家電各社がインターネット対応テレビを出しましたが不発。そのあとも海外では一時的に普及したこともありますが、「インターネットも見られるテレビ」という商品はすでに過去形になってしまっています。テレビとインターネットの融合については、テレビ局側のかたくなな姿勢もあって紛糾しており、ストレートには進みにくい状況です。
地上波デジタル放送が成功したとしても、インターネットとの融合は難しいかもしれません。テレビ放送のビジネスモデルは「一定の放送時間を広告として売る」という方法。インターネットのように「ユーザーにクリックさせて見せる」という広告とはまったくスタイルが異なります。残念ながらテレビとネットの融合はかなり難しいと言えるでしょう。
インターネット配信でのコンテンツなら、PLC化したテレビで楽しむというスタイルはありそうです。ただしソフトウェアはすべて書き換えできるスタイルにしないとだめ。メモリーかハードディスクを積む必要が出てきますから、テレビ単体ではコスト的に見合わないでしょう。PLC化する価値があるのは、HDDレコーダー・DVDレコーダー・チューナーなどのテレビに接続する機器だと思われます。

掃除機 ロボット化すれば行ける?

もっとも関係なさそうな掃除機ですが、ロボットにするなら期待できます。掃除ロボットは家庭用ロボットでもっとも期待できる分野。すでに商品も登場しています。もうこれも言い尽くされていますが、第二次世界大戦前に書かれたSFの名著「夏への扉(ハインライン)」でも、掃除ロボットが実用化される話が出てきます。
共働きの家庭だと毎日掃除するのはとっても大変。誰もいない昼間にロボットが掃除してくれれば楽チンですね。小型カメラを付ければ、会社から自宅の映像を見ながら掃除させるってこともできそうです。


ああ、でも書きながら変なことに気が付いた。掃除機って部屋の中を動き回るもの。ということは無線じゃないとだめですねー。これはBluetoothか無線LANがベスト。コンセントにつなぐPLCじゃ意味がない…。
さらに追加。ハインライン「夏への扉」に出てくる掃除ロボットは完全自律型。外から監視する必要はなさそうです…。

今日はここまで。
否定的な想定ばかりになってしまっていますが、もうちょっと深く考えて続きを書きます。ネット家電に夢があるといいのですが…。現時点の私の考えでは、かなーり辛そう。もちろん商品としては成り立ちますが、それに見合うだけの価値、面白さ、魅力があるかどうかは微妙です。あなたはどんなネット家電を考えられますか?

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ITジャーナリスト・三上洋



セキュリティ、携帯電話・スマートフォン、携帯電話料金、ライブメディアのライター・ジャーナリスト
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