ISIL事件でのネット状況分析:出演メモ書き

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ISILの殺害事件に関したネットとTwitterの状況をまとめたメモです。
2月3日に、TOKYO FMの番組「TIMELINE」で話した内容です。写真はTOKYO FM 今井広海アナウンサーと。
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●2/1の後藤さん殺害報道後のTwitter、震災直後とよく似ている
恐怖と悲しみ
反射神経的にリツイート 三上のスパム警告ツイートが1万4千RT
モールス信号などのデマ
後藤さんに関する画像・映像をRTするな、という呼びかけ
ニチアサのアニメを流すのかどうか、不謹慎ではないか、という議論

三上の見方
感情の代償行動としてのツイート、RT
怒りをぶつける(スパムへの怒り)、イスラム国への怒り
善意のつもりでデマを拡散する
ツイートすることが助けた気になる、公正なことをした気になる
→実際の行動に結びつかない
集団ヒステリー的な状態で、いまもツイッター上の議論が続いている

●「イスラム国」による事件で浮かび上がってきた、様々なネット上の論点

・彼らをなんと呼ぶか。「イスラム国」「ISIL」「ISIS」
そもそも国なのか?
彼らの自称を認めるべきなのか?(国であれば自称でこちらも呼ぶべき)、
イスラム教を信ずる人々への偏見になるのではないか
→エジプト出身でイスラム教徒初の力士、大砂嵐金崇郎への心ないヤジ

・イスラム国のプロバガンダを、テレビがそのまま流すのはどうなのか
彼らの恐怖プロパンダに加担するだけではないか

・「不謹慎」問題。日曜朝のアニメは流すのか? 誘拐事件のアニメは放送するのか?

・政府対応の批判、批判することへの批判、大政翼賛会的ではないかというループ
ネット上が論争、非難合戦の状態に
お互いにネトウヨ、ブサヨなどとレッテルを貼り個人攻撃にも

●ISISクソコラグランプリ 状況整理

・いわゆる雑コラ。顔などの画像を組みあせてお笑い画像を作る。技術は低いほうが笑える、2ちゃんねるのスレッド発だが、Twitterで発信・拡散されることが多い

・その一つととして「#ISISクソコラグランプリ」が生まれる 1/20

・イスラム国がネット上で出してきた画像をコラージュする

・まったく関係のない画像を、面白がって作る行為
北朝鮮のキム・ジョンウン総書記がテレビを見て笑っているコラージュ
STAP細胞・小保方さんが登場したり
犯人がケバブを切っていたり
犯人を美少女化したり(ISISちゃん=アイシスちゃん)

・風刺や政治的な意図はなく、おふざけのみがほとんど

・フランスのシャルリー・エブドの風刺漫画とは、まったく意図が異なる。意図はない。

・日本国内では不謹慎として、非難轟々

・ところが海外の一部メディアでは、これを「カウンタープロバガンダ」として評価
http://blogos.com/article/104194/?p=1
イスラム国(ISIS)に対するツイッター利用者の攻撃と海外からの評価
イスラム国の恐怖プロパンダに対抗できるものとして
イスラム国をおとしめる、笑いものにする効果がある
イスラム国からの正義だというプロバガンダに対し、「ISISはダサい」というイメージを植え付ける
★とりあげたメディア
kotaku.com http://kotaku.com/japanese-twitter-users-stand-up-to-isis-with-a-photos-1680848705
NBC News http://www.nbcnews.com/storyline/isis-terror/japanese-twitter-users-mock-isis-internet-meme-n291591
dailydot http://www.dailydot.com/politics/japan-isis-photoshop-counterpropaganda-terrorism/

・ただしこれは、英語メディア側の苦悩に対するものとも言える
イスラム国の画像・映像を流さない、とするメディアが多い。BBC、AFPなど
戦地にはジャーナリストを送らないと決めたメディアも AFP
フリーのジャーナリストの記事でも戦地からの記事は載せない AFP

報道はしたいが、イスラム国のプロバガンダになるため、やめている
その苦悩を別の角度から解決する手段として、コラージュが有効と思ったメディアがあるのではないか

・その見方が日本のネットメディアを中心に大きく取り上げられる

●ISISクソコラグランプリの問題で見えてくること

・ただし日本側の意図は、カウンタープロバガンダではなく、ふざけているだけのものが多い。政治的、風刺的な意図は基本的にはない

・作り手の意図とは、まったくかけ離れたところで解釈が違ってくる現象
ネットでは非常に多いパターン
誤解がとける場合もあるが、誤解のままで浸透してしまうことも多い

・それを見た日本のコラージュ作成者の意図も微妙に変わってきている
たとえばアイシスちゃんのお約束
https://twitter.com/isisvipper
「イスラムの教義をバカにしない」「アッラーやムハンマドさんを題材にするのはダメ」「人質の扱いには気をつけましょう」

・イスラム国への呼び方を意図的に変えようという呼びかけ
「イスイス団」→嘲笑すること、お笑いにする カウンタープロバガンダ的
以前に2ちゃんねるで、暴走族を「珍走団」と言い換えることで、彼らのかっこよさを減じようという動きと共通している

・フランスのシャルリー・エブドの問題よりも進んだ形に
神や宗教を笑うことを許されるかという問題があった
その問題にならないように配慮を始めているコラージュ作者もいる

・最初は不謹慎に笑うものだけだったものが、ネットの動き、海外の動きに影響されて、変化してきている。それも、いい方向に動いているように感じられる

●テレビなどのメディアが、イスラム国の画像・Youtubeをすぐに流す問題
・メディアがまったく情報を得られない
・「ネットの情報待ち」
・Youtubeやツイッターは、現場からリアルタイムで出てくるもの
テレビよりも早く臨場感があるので、使ってしまいがち(つまようじでも同じ)・急ぐあまりに、載せていいのかどうかの検討なしに流してしまう
単にモザイクをかけたり、殺された部分をカットするだけ
・モザイクやカットだけすれば、問題無いと単純に思ってしまう
・結果としてイスラム国のプロバガンダに協力してしまうことも

三上の見方
・何をのせて、何をのせないかというポリシーが決まっていない
・現場はスピード勝負だけなので、政治的、道義的、社会的な影響を配慮していない
ある意味で仕方がない
・各メディアが独自のルールを作るべきだ
テロ組織のプロバガンダの扱い
Youtubeやツイッターでの、犯人直接発信の画像・動画の扱い方
BBCやAFPは作っている

・この問題について、ツイッター上では
イスラム国からの画像を流すのではなく、後藤さんの仕事を取り上げようという声が広がる
毎日新聞「「後藤さん殺害」:「取材する雄姿広めよう」ネットで共有」
http://mainichi.jp/select/news/20150202k0000m040067000c.html

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ITジャーナリスト・三上洋



セキュリティ、携帯電話・スマートフォン、携帯電話料金、ライブメディアのライター・ジャーナリスト
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