ソフトバンク携帯、ボーダフォンと回線提携交渉


3月4日に発表された「英Vodafone、ソフトバンクへの日本法人1.7-2兆円で売却」についての記事は、2本書いています。よろしければご覧下さい。
ボーダフォン1.7兆円でソフトバンクへ身売り?日経が「大筋合意」と報道
ソフトバンクは2兆円も出せるのか? ボーダフォン買収
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2月9日の朝日新聞朝刊(14版)によると、携帯電話事業に新規参入するソフトバンクグループが、ボーダフォンの基地局・回線を借りる提携交渉を始めている、とのこと。

ソフトバンク 携帯参入、全国規模で回線賃借 ボーダフォンと提携交渉
2月9日朝日新聞朝刊

趣旨をまとめると、ソフトバンクがボードフォンから通信回線を借りる交渉をしていることが8日にわかったという記事。MVNO(仮想移動対通信事業者、回線・基地局のレンタル等)形式で、ボーダフォンの回線・基地局を借りる交渉を始めているそうです。

「関係者によると」という記事を見る感じでは、どこぞのリークっぽい雰囲気がありますね。2月9日のケータイWatchによれば、今回の報道についてソフトバンク広報は「ノーコメント」、ボーダフォン広報は「さまざまな事業者と話し合いをしているが、従来通り、個別の事案は公表しない」とコメントしています。両者ともノーコメントですが、否定していないところがポイントでしょう。

ソフトバンクとボーダフォンという組み合わせは、かなり昔から言われてきました。ソフトバンクは本来なら、ボーダフォンなどの既存事業者を買収するなどして事業を始めたかったはず。今までのソフトバンクのやり方なら、それがストレートで手っ取り早い道だからです。
ただしボーダフォンは日本での携帯電話事業を今のところ手放すつもりはなさそうで、ソフトバンクはすべて自前で始めることになっていました。今回の提携交渉がうまく行けば、人口の少ない地域はボーダフォン回線を使って、当初からある程度広いサービスエリアを実現できます。

ボーダフォンの携帯電話事業は低迷状態ですが、MVNOによって収益を確保しようとしています。
直接ユーザーをつかむ商売ではうまく行っていないので、他の事業者にレンタルして収益を出そうとするビジネスモデルです。2005年11月の社長会見では「すでに30社程度と交渉を進めており、そのうち10社程度と提携したい」とビルモロー社長がコメントしています。
今回のソフトバンクとの提携交渉報道も、その現れと言っていいでしょう(ITmedia +D モバイル:ボーダフォン、MVNO事業に積極的「2年で10社と」

ただし気になるのは、フルIPで始めるはずのソフトバンクが、現在のボーダフォン回線でサービス提供できるのかどうか。基地局の屋舎だけを借りて設備はソフトバンクが入れる、という形式ならフルIPは可能かもしれません。しかしボーダフォン3Gの回線と設備をまんま使うつもりであれば、フルIPサービスはできないはず(たぶんですが)。


だとすると「大都市圏の自前基地局=フルIP」「地方のボーダフォン賃借=現在の3Gサービス」という2つのサービスになってしまいます。これは厄介、というか事業計画が大きく狂ってしまう可能性あり。ソフトバンクさんは、どうするつもりなのでしょうか。

この提携交渉とMVNOについては、携帯ビジネス研究家の三田さんのブログへどうぞ。全体像をわかりやすく、詳しくまとめた記事がアップされています。
ソフトバンク、ボーダフォンとMVNO提携交渉キターーーッ
「基地局ローミング係争」は勃発するか?

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ITジャーナリスト・三上洋



セキュリティ、携帯電話・スマートフォン、携帯電話料金、ライブメディアのライター・ジャーナリスト。文教大学情報学部非常勤講師
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