「スーパーボーナス問題」で大ピンチのソフトバンク携帯


2006年10月25日追記

この記事は、番号ポータビリティ以前に実施されていた「旧スーパーボーナス」のトラブルの問題を書いています。10月23日に発表されたソフトバンクの新料金では、「新スーパーボーナス」に生まれ変わっており、旧スーパーボーナスは消失した状態です。

新スーパーボーナスの詳しい内容は、10月26日の午前中にソフトバンクから何らかの発表がある模様で、秋葉原でのイベントが計画されているようです。

追ってお伝えできると思いますが、速報はウェブ系ニュースのほうが早いでしょう。我がサイトで分析物ができればよいなと考えています。

10月23日発表の予想外割(ゴールドプラン)の検証は、下記の記事をご覧ください。
●本サイトの記事
ソフトバンクが抑止力発動。ドコモ・auはひそかに喜ぶ?

●デジタルARENA
ソフトバンク新料金プランは本当におトク? 3キャリアの料金を徹底検証!【前編】
ソフトバンク新料金プランは本当におトク? 3キャリアの料金を徹底検証!【後編】

●番号ポータビリティの移行費用まとめ>
最悪1万5千円超えも。番号ポータビリティ手数料+解約料まとめ

というわけで、以下の記事は現在では無用のものですが、どんな混乱があったのか記録を残す意味で、そのままにしておこうと思います。
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ソフトバンク携帯
番号ポータビリティ直前に、ソフトバンク携帯が大きなトラブルに見舞われています。新しい割引サービス「スーパーボーナス」の運用方法が二転三転しているため、ユーザーの総スカンにあう寸前まで来ています。
2006年10月17日現在でわかっている、トラブルの実情、ソフトバンク携帯のスーパーボーナスへの切り替え方法と、番号ポータビリティでユーザーが流出する危険性についてリポートします。
※注:筆者個人による取材によるもので、公式アナウンスではありませんので注意してください

二転三転するソフトバンク携帯の発表

スーパーボーナスは2006年8月に発表されたソフトバンク(ボーダフォン)の割引サービスです。詳しい内容はwikipediaの「スーパーボーナス」をご覧いただくとして、この2ヶ月の動きを追ってみます。

スーパーボーナスは、広報発表のリリースなしで発表されたこと、内容が複雑で難解なことなどにより、ユーザーへの周知が徹底しない状態でした。また既存の割引サービスからの切り替えをどうするのか、という運用方法が二転三転しており、大混乱しています。
おおまかな経緯をまとめると、

ソフトバンク携帯
●2006年8月
「スーパーボーナス」をWebで発表。また9月版のカタログから従来までの割引サービス「ハッピーボーナス」と「年間割引」が掲載されなくなる。この時点では「ハッピーボーナスの契約期間はスーパーボーナスへ引継ぎできる」と記載していた。

●2006年10月1日
ソフトバンクスタートと同時に、Webでの「スーパーボーナス」記載を一部変更。ハッピーボーナスからの契約期間引継ぎができない、つまりスーパーボーナス契約はすべて1ヶ月目からスタートとの表記に変わる(10月17日現在もそのまま残っている=10月17日20時のスーパーボーナス公式説明のWeb魚拓 混乱を防ぐため、1ヶ月ほどでリンクを外します)。
またITMedia、ITProなどのWebニュースで、インタビューに答える形で「ハッピーボーナスからの契約期間引継ぎができない」「ハッピーボーナスや年間割引の受付中止」と報道される。
契約期間を引き継げないとすると、1ヶ月目からのスタートとなり、割引率が大幅にダウンし、毎月の料金が大幅に上がってしまう。そのためユーザーからの批判の声が上がる。

●2006年10月12-13日
この頃にショップに向けて、ソフトバンクがFAXを一斉送信。「ハッピーボーナスからの契約期間を引継ぎできる」「ハッピーボーナスや年間割引を新規契約で加入できる」と運用方法が再変更される。
各サイトでこの再変更が話題になり、週明けの17日にITMediaが「ソフトバンク、ハッピーボーナスと年間割引の受け付けを再開」と報じる。

このようにスーパーボーナスの運用方法が2度に渡って変更されています。ショップでも大きな混乱が起きており、以前の運用方法での説明をするショップ、混乱のためにスーパーボーナスの受付けを一時中止するショップもありました。特に先週(10月9日から15日)は、ショップによってまったく対応が異なるため、ユーザーも混乱していたようです(ソフトバンクユーザーのコミュニティサイト「MobileDataBank – SoftBank Wiki Community」のBBSによる)。

10月17日のお客様センターの答え

では実際にスーパーボーナスの運用方法はどうなったのでしょうか。お客様センターに電話で聞いてみました。広報への問い合わせではなく、一般受付窓口での質問です(表現は一部変更しています)。
なおこれは10月17日現在のお客様センターの返答であり、実際にショップで有効かどうかは確かめていません。また実施を筆者が保証するものではないのでご注意ください。

Q:スーパーボーナスについて混乱が起きているようですが?

A:ご迷惑をおかけして申し訳ありません。ハッピーボーナスや年間割引へのお客様の要望が多いため、運用方法を変更いたしました。


Q:ハッピーボーナスの契約期間は、スーパーボーナスへ引継ぎできますか?

A:運用方法が変わり、引継ぎできるようにいたしました(たとえばハッピーボーナスに3年加入している状態で、スーパーボーナスに加入すれば3年目からのスタートとなる=筆者注)


Q:ハッピーボーナスからスーパーボーナスへ変更すると、ハッピーボーナスの解約手数料はかかりますか?

A:解約手数料は発生しません(キャンセル料はゼロ=筆者注)。


Q:年間割引の契約期間は、スーパーボーナスへ引継ぎできますか?

A:こちらは引継ぎができません。


Q:スーパーボーナスに入りたくない人は、機種変更時に今までのハッピーボーナスや年間割引を続けられますか?

A:はい。運用方法が変更になり、今までのハッピーボーナスや年間割引を引き続きご利用できるようになりました。


Q:新規契約(ソフトバンクへの新規ユーザー)ではどうですか?

A:新規契約でも、ハッピーボーナスや年間割引にご加入いただけます。


Q:一部のサイト(ライブドアPJニュース=筆者注)で「スーパーボーナスは機種変更のたびに割引率(契約期間)がリセットされる」との表現がありましたが、実際はどうでしょうか?

A:スーパーボーナスに加入した状態で機種変更した場合、契約期間は引き継がれます。機種変更のたびに契約期間がリセットされるわけではありません。


以上がお客様センターの回答です。ITMediaの記事や、ソフトバンクユーザーのコミュニティサイト「MobileDataBank – SoftBank Wiki Community」で流れた情報と一致しています。10月13日をもって、この内容に変更されたと考えていいでしょう。

ソフトバンク携帯の方針は?

実際問題として、ソフトバンクはスーパーボーナスと既存の割引サービスをどのように考えているのでしょうか。まったくの想像ではありますが、
●ゆくゆくはスーパーボーナスに一本化したい
●時期を見てハッピーボーナス・年間割引の受付けを中止したい
という方針だと思われます。この方針は2006年8月の発表以来、一貫しており変更はないようです。ただし実際の運用方法が二転三転してしまったため、ユーザーに悪い印象を与えています。

ハッキリと公式発表をするべき

スーパーボーナスは内容的には、ハッピーボーナスよりもやや劣る点が多く、事実上27ヶ月は機種変更できない、ハッピーボーナスより割引率が低いなどの問題点があります。
スーパーボーナス

ただし販売奨励金(インセンティブ)を減らす方向(見かけ上ですが…)の割引サービスであること、機種変更を頻繁に行うユーザーから受けるキャリアの不利益を解消する、といった点はスーパーボーナスの優れた点です。またソフトバンクのバランスシート(財務)を良くする効果もあります。
その代わりとして、割引率が落ちてしまうのはやむを得ないことなのかもしれません。

大きな問題は、ユーザーに対する姿勢です。
スーパーボーナスで統一するのなら、それでもいいんです。極端なことを言えば、以前の方針のように「ハッピーボーナス・年間割引廃止」でもいいでしょう。

それでもいいので、ハッキリと内容を明示して、プレスリリースなり、発表会の場で、きちんとアナウンスすることが重要です。ユーザーに知らせずに、ショップだけに「運用方針の変更」などと言ってFAXを送るだけでは不親切です。現状ではユーザーが大混乱し、ショップも悲鳴を上げています。

ユーザー流出の原因となる

ソフトバンクユーザーの掲示板やブログでは、このスーパーボーナス問題が何度も取り上げられています。その多くが批判の声であり、なかには「こんな状態では信用できないので、番号ポータビリティで他社へ行く」という声もあるほど。
番号ポータビリティ直前の大事な時期に、こんな問題が起きてしまうのは、ソフトバンク携帯にとって大きなダメージとなるでしょう。
またハッピーボーナスと年間割引についての説明が、ソフトバンクの公式サイトとカタログからなくなっています。これもユーザー向けに説明するべきでしょう。Web上でハッピーボーナスの内容を見るには、下記のリンクを参照してください。
2006年2月発表資料 ボーダフォン「ハッピーボーナス」割引率拡大のPDF

できるだけ早く、スーパーボーナスについての公式アナウンスをするべきです。このままでは、番号ポータビリティでのユーザー流出を防げません。

古い情報をのせたままのWebが多いので注意


なおこの件については、10月17日現在、ソフトバンク公式サイトのスーパーボーナスの記載に誤りがあります。17日現在では、上のお客様センターでの返答が正しい模様です(お客様センターが「申し訳ありません、そのWebの情報は間違いです」と認めていました=混乱を防ぐため、1ヶ月ほどでこの記述を消します)。

スーパーボーナス

また大手メディアのニュースにも、間違った情報(というより以前の運用方針)が書かれているため注意。Googleでの検索でも、以前の運用方針を書いたサイトがトップに表示されます。


加えてショップでの意思統一も十分ではないようなので注意してください。不安であれば、事前にお客様センターに問い合わせの上で、ショップへ行ってください。必ず自分の耳で確かめることをお勧めします。
繰り返しになりますが、この件については、筆者は内容を保証できません。すみませんが必ず自分でお客様センター等に問い合わせて確かめるようお願いします。

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ITジャーナリスト・三上洋



セキュリティ、携帯電話・スマートフォン、携帯電話料金、ライブメディアのライター・ジャーナリスト。文教大学情報学部非常勤講師
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