PLC高速電力線通信の今後の動き


PLC・高速電力線通信については、12月末にパブリックコメント結果と研究会による見解が公表され、研究会は12月22日の第12回を最終回として閉幕しています。議事録はようやく第9回と第10回が公表されましたが、閉幕に至った第11回と第12回はまだ公表されていません。
この後の動きとしては総務省の情報通信審議会にかけられます。まず1月23日に行われる「情報通信審議会 情報通信技術分科会(第38回)」に、『「国際無線障害特別委員会(CISPR)の諸規格について」のうち「高速電力線搬送通信設備に係る許容値及び測定法」について』という議題がのっています。この分科会はインターネット中継されますので、皆さんもぜひ聞いてみてください。
情報通信審議会 情報通信技術分科会(第38回)開催案内
情報通信審議会インターネット中継

12月26日に発表されたパブリックコメント結果と研究会の見解ですが、マジメに仕事しろ!PLCパブリックコメントの官僚対応に激怒する でも取上げたように、あまりに手抜きの回答が多すぎてあきれ果てています。ただし回答から今後の総務省の動きが見えてくる部分があります。

研究会では「短波帯の無線利用以外は検討しない」と明言

パブリックコメントでは、アマチュア無線・短波ラジオ・天文分野以外からも指摘がずいぶんありました。たとえば
●医療関係者(医療機器への影響がある)
●ケーブルテレビ事業者(短波帯を利用するためPLCから妨害を受ける可能性あり)
●ADSL・VDSL事業者(ADSL2+などでPLCから妨害を受ける可能性あり)
●空港・航空関係者(空港と航空機内でPLCを規制すべき)
などの指摘がありました。
これについて研究会の見解は「本研究会は短波帯の無線利用との問題だけを検討している。よって当研究会の関与する問題ではない」としています。くだけて言っちゃえば「それ議題になってないので知りませんよー」ってこと。研究会はPLC全体の問題を議論していたのではないのです。あくまで短波帯の無線利用との共存だけ。PLCによって起きうるその他の問題は、今後の審議会できちんと検討しなくてはなりません。研究会の見解でもこう書かれています。
「本研究会では、これまで短波帯の無線利用との共存条件として許容値と測定法を検討してきました。今後、帯域外発射やスプリアス等についても検討する必要があると考えます。」
つまり研究会がクローズしたからと言って、PLCにGOサインが出たわけではないのです。これから検討することがある、ハッキリとそう言っています。この検討をいつ誰が行うのか、しっかりと監視していく必要があります。


PLCの最新の動向については、下記の2つのサイトがとても参考になります。特に医療機器の問題や海外動向については「HF-PLC Watching Site」で詳しく取上げられていますので、ぜひご覧下さい。
HF-PLC Watching Site
ラジオNIKKEI PLC問題を考える

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ITジャーナリスト・三上洋



セキュリティ、携帯電話・スマートフォン、携帯電話料金、ライブメディアのライター・ジャーナリスト。文教大学情報学部非常勤講師
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